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防振内装(浮き構造)についての技術資料

1.防振内装(浮き構造)とは2.防振内装(浮き構造)の構成3.防振材4.遮音層5.防音建具6.設備に関して7.まとめ

1. 防振内装(浮き構造)とは

 防振内装(浮き構造)とは、防振材や緩衝材により建築の本体構造と振動絶縁を行ったフレームを構成し、そのフレームに遮音材を取り付けたものである。室として高い遮音性能を得るには、固体伝搬音の発生や侵入を極力抑える必要があり、床・壁・天井・建具等の全ての面を浮き構造により囲い、室内側から見て浮き構造が閉じていることが重要であり、このような構造は特に浮室構造やBox in Box構造と呼ばれることもある。

 それ以外に、床や天井だけを浮き遮音構造としたような部分的な防振内装もある。部分的な防振内装の場合、Box in Box構造に比べて、防振されていない面から躯体に入力された音響エネルギーが躯体の中を固体音として伝搬し、受音側で再放射される現象が発生する、またその逆の現象も発生する。この伝搬経路の影響により、Box in Box構造に比べて部分的な防振内装の方が遮音性能は低くなると言える。【図1】に、例としてBox in Box構造と部分的な遮音構造の遮音性能を示す。この差は、固定構造の露出の割合が減少すれば小さくなると考えられるが、非常に高い遮音性能が必要な場合には、やはり全面を浮き構造とすることが必要であるといえる。 【図1】Box in Box構造と部分的な遮音構造の遮音性能
【図1】Box in Box構造と部分的な遮音構造の遮音性能

2. 防振内装(浮き構造)の構成

 防振内装(浮き構造)を構成する主たる部材としては、下記のものがあげられる。

  1. 防振材:振動絶縁を目的とする材料で、防振ゴムやグラスウール・ロックウール等が上げられる。
  2. 遮音層:浮き遮音層を成す材料は、石膏ボードやFGボード等のボード材や、成形セメント板、床ではコンクリート等が上げられる。
  3. 防音建具:浮き遮音層を構成する面に建具が付く場合に、建具部分が遮音欠損とならないように、防音ドアや防音窓といったような部材が用いられる。
  4. その他設備:浮き構造の中に接続される空調設備や電気設備等も、ダクトや配管が遮音欠損となったり、防振上の欠陥となることがないように、防振支持やダクト消音器等が必要となる。

3. 防振材

  • 防振材の性能
  •  
     防振材の性能として、加振された振動が防振材により減衰する度合いを、振動伝達損失という形で表すと、簡単には下式のようになり、防振系の固有振動数が低いほど、音響の領域での振動伝達損失を大きくすることができる。

    振動伝達損失 : 20log10|1−(f/fo)2
      f :対象周波数(Hz)
      fo:系の固有振動数(Hz)
     
    固有振動数fo : 1/2π√(k/m)
      k:防振材の動的バネ定数
      m:振動系の質量
     

     
    建築として浮床に多く用いられている防振材は、前述のとおり防振ゴムやグラスウール・ロックウール等があるが、これらを比較すると下記のようになる。

    1. 固有振動数は防振ゴムでは10Hz以下も十分可能であるが、グラスウールやロックウールの場合、浮床の厚さにより異なるが目安として30Hz程度となることも考えた方が良い。防振ゴムとグラスウール・ロックウールで振動伝達損失を比較して考えると、中高音域では大きく変わらないが、低音域では防振ゴムの方が振動伝達損失が大きく得られるといえる。
    2. 防振ゴムに比べて、グラスウール・ロックウールの浮床の方が構造は単純で、コストは低く抑えられる。
    3. グラスウール・ロックウールの場合、防振ゴムに比べて経年変化によるクリープが発生しやすく、浮床が少しではあるが下がるという現象が生じやすく、将来的に浮床と固定床の接点で問題となることもある。最近は、問題となりそうな部分については、グラスウール等の間に防振ゴムを入れて、クリープの発生を抑えようとする施工も見られるようになった。

  • 防振ゴムの選定・防振工事図の流れ
  •  
     一般的に設計図書では、浮き構造の仕様と防振ゴムの形状・納まり、および固有振動数の目標値が記載されているが、支持点ごとの支持荷重の算定や、積載加重の条件も含めて、施工図の段階で防振ゴムを最終選定することが必要といえる。防振材としての防振ゴムを選定し、防振工事図を作成する流れを簡単に【図2-防振ゴム選定・防振工事施工図作成の流れ】に示す。また、一般的な考え方や注意事項として下記のようなことがある。

    1. 防振性能の指標として用いられる固有振動数については、固有振動数の√2倍の周波数以上が防振効果の得られる領域であることから、音響領域で十分な性能確保を目的として、10Hz程度の固有振動数が目標とされることが多い。
    2. 一般的な防振ゴム(丸型、角型防振ゴム等)は、圧縮方向の力を支持することを主としており、せん断力や引っ張り力に対しては非常に弱いので、防振支持の詳細を決定していく際にはゴムを圧縮方向で用いる納まりとすることが必要である。また別に、圧縮方向と水平せん断方向の力を支持できる防振ゴムも出ており、防振納まりが単純化しやすくなるメリットがある。
    3. 防振構造の水平振れ止めは、前述のとおり防振ゴムが水平力に弱いため必ず必要で、本体構造と浮き側の構造の間に、防振ゴムを圧縮方向で用いて接続する納まりとなる。また、水平全方向に対してゴムが圧縮として働くようなドーナツ形状のゴムを用いた防振振れ止めもある。防振吊鉄骨の防振振れ止めの例を【図3】に示す。
    4. 防振ゴム支持質量として、建築構造以外に設備等が上げられるが、特に機構等の設備については非常に大きな集中荷重となることが多いため、防振ゴム選定時に注意が必要である。
    5. 防振ゴムの選定は、(固定荷重+積載荷重)が防振ゴムの許容荷重以下となるように防振ゴムを選定するが、固定荷重が小さくなる条件となっている場合には、大きな防振ゴムを選定することになり、積載荷重が無い状態や積載が小さい状態で、固有振動数が目標値よりも高くなってしまい、防振性能が低下してしまうこととなる。乾式の浮床構造の場合にこのような現象が生じやすいが、その場合は現実的な積載荷重条件を用いたりしながら、防振性能とのバランスを見て防振ゴムを決定していく必要がある。
    6. 防振支持詳細を決定していく際や施工途中のチェックとして、防振ゴムに荷重がかかることによる防振ゴムの撓みを見落としてはならない。防振ゴムが撓んだ時に、浮き側の構造が固定側の構造に接触することが無いことを図面でも、施工途中のチェックでも確認しておく必要がある。防振ゴムの撓み量は下式により算定できる。
      撓み量:k・m
        k:防振材の静的バネ定数 (※)
        m:振動系の質量
      (※)固有振動数の計算の場合は、動的バネ定数
       
         以上のように防振ゴムの選定が適切に行われないと、当初設計で意図した防振性能が得られないばかりか、対象周波数によっては増幅してしまい、目標遮音性能が達成できなくなることや、防振ゴムの許容荷重以上での使用となることが発生するので、この過程は非常に重要である。
    施工途中や施工後にも防振ゴム選定時に考えていなかった荷重を支持したいというようなこともあるが、性能維持のために都度チェック検討を行う必要がある。

4. 遮音層

 遮音層を構成する材料として、前述のような材料が上げられるが、その選定は目標とする遮音性能によって行われる。ただし、いくら高い遮音性能を有する遮音材を選定したとしても、隙間や穴があいた状態では、そこからの音漏れにつながってしまうため、遮音層を構成する際の注意事項として下記のようなことがあげられる。

  1. 遮音層の隙間を極力なくすために、ボード施工においてはボードのジョイントをずらして積層し、必要に応じて遮音のためのシールを併用する。
  2. 成型セメント板などの遮音材の場合は特に、板のジョイントに確実に遮音のためのシールを行う。下地鉄骨との取り合いでシールが難しくなる場所もあるので、図面段階でどの位置にシールを行うかの具体的な検討が必要である。
  3. 遮音層を鉄骨等が貫通する場合は、その取り合いに穴があきやすいため、貫通部の納まりには検討が必要である。特に成型セメント板では細かな切欠き加工が難しいため、鉄板等での塞ぎとなることが多い。(【図4】参照)
  4. 固定遮音層側の話となるが、本体鉄骨に遮音層が取り合う場合には、耐火被覆のことを考慮する必要がある。一般的に耐火被覆には明確な遮音を期待し難いため、その部分に遮音上の欠損が生じる。そのため固定遮音層と鉄骨との取り合いは、鉄板等で遮音層と鉄骨がつながるような納まりとすることが必要となる。

5. 防音建具

  • 防音建具の遮音性能

  • 浮き遮音層を構成する非常に重要な部材として、開口部の防音ドアがある。防音ドアの遮音性能については、カタログなどに透過損失の性能が表示されていて、防音建具の選定はこの性能を目安に行われている。ただし、現場での施工後の建具がこの性能を保持しているとは言い切れない。実際に現場で測定してみると、建具の気密材の調整前と後で1000Hz以上の高音域の遮音性能が10dB以上変わってくることもある(【図5】参照)。またドアの引き寄せがあまく、ドアの固定度が低くなった場合には、500Hz付近の中音域の遮音性能まで低下することもある。縦の気密構造と下部の気密構造が異なり、そのジョイント部に孔があいて音漏れの原因となり、目標とした遮音性能が出ていないこともある。このことからもわかるように、防音ドアの遮音性能を確保するには、ドア取付け後の現場での調整が非常に重要であるといえる。

    【図5】防音扉の機密調整前後の遮音性能
    【図5】防音扉の機密調整前後の遮音性能

  • 遮音層の取り合いによる防音建具枠形状について

  •  遮音層の一部となる防音建具は、当然遮音層と確実に接続される必要がある。一般建具の場合は、枠形状の裏側は補強材が枠として必要なピッチでピースとして取り付けられているが、防音建具では遮音層と確実に接続できるように、枠の裏側も鉄板で塞ぎ、枠内に吸音材を充填した弁当箱形状としたり、枠内にモルタルを充填するなどの形状とすることが望ましい。当然、遮音層を構成するボードと枠の取り合い部は、隙間が生じないように、現場施工時に遮音シール等の処理が必要である。(【図6】参照)


  • 防音建具の振動絶縁処理

  •  浮き遮音層を構成する防音ドアは、浮室構造として高い遮音性能を求める場合には、基本的に浮き構造側に取付け、固体構造側とは振動絶縁を設けた納まり(【図6】参照)とする必要がある。実際に固定側に取り付けられた建具から、本体構造で発生している固体伝搬音が聞こえてくるというのは実際にもある話であり、それと同じように遮音性能も低下するといえる。


6. 設備に関して

  浮き構造室内に入ってくる設備に関しては、電気・空調・その他、部屋の用途に応じていろいろな設備があり、建築とは別の工事として進められるが、最終的な性能を確実に確保するために、設備が防振・遮音性能上の欠陥とならないように、施工前の図面の段階での打ち合わせ等による確認や、施工途中でのチェックが重要といえる。


  • 設備の防振処理

  •  浮き構造室内に入ってくる設備の支持は、防振上の欠陥とならないように、防振ハンガーや防振ゴムなどを用いた防振支持が必ず必要であり、ダクトや配管等で固定構造から支持されている部分との接続部には、振動絶縁ができるゴム等を用いたジョイントが必要となる。また、浮き構造側の配管やダクトが躯体等の固定部を貫通する部分では、防振貫通処理が必要となる。この貫通部で振動絶縁に用いたグラスウール等は空気音に対する遮音上の欠陥となるため、鉛シート等による塞ぎ処理も合わせて必要である。(【図7】参照)


  • 空調ダクト等の消音処理

  •  浮き構造室内に入ってくる空調ダクトは、遮音層に穴を空けたと同じ状態になる。また、他室と共通ダクトとなっている場合は、このダクトを通してのクロストークも問題となるため、ダクト系に必要遮音性能に見合っただけの消音器を設けることが必要といえる。まれにではあるが、空調のリターンが建築チャンバーを介するシステムとなっていて、そのチャンバーが固定構造側で、浮き遮音層にチャンバーにつながる穴があく計画となっていることもあるが、これは浮き構造の欠陥となってしまうため、(1)空調ダクトを浮き遮音層につなぎ込む、(2)リターン口に浮き遮音層の必要遮音性能に見合った消音器を取付ける、(3)リターンチャンバーを浮き遮音構造内とする 等の対処方法が考えられる。


7. まとめ

 以上に述べたように、浮き構造として高い遮音性能を実現するには、いろいろな検討を行って進める必要がある。また施工途中でも、防振・遮音の欠陥が生じる可能性がある。その中で大きなものをあげておくと、(1)浮き床に防振材として用いられるグラスウールやロックウールは水に弱く、水が入ってしまうと防振性能が出なかったり、クリープが発生したりする。(2)浮き床のエキスパンション部でのコンクリートのノロやごみ等による浮き床と躯体の接続(サウンドブリッジ)も大きな欠陥となる。(3)内容を理解していないことによる、浮き構造と固定構造の不用意な接続など、いろいろなことが現場では発生する。これらの危険を回避するため、その工事にかかわる全員が浮き構造を理解して、施工途中でのチェックを行いながら進めることが重要である。


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