防音壁豆知識
防音壁を検討する場合、遮音性能に対して、音源側の吸音については軽視されがちです。
では、コンクリートやALCなどの吸音性能が無い遮音壁と防音パネルを使用した防音壁は何が違うのでしょう。
左図は地面上に音源があり、障害物が無い状態を表しています。
1図 防音パネルで対策した場合
2図 吸音しない遮音壁で対策した場合
3図 防音パネルで対策し、防音壁の下部に開口がある場合
4図 遮音壁で対策し下部に開口がある場合
なぜ、こんなに差が出るのでしょうか。理由は壁で囲った空間の音量増加にあります。
遮音壁(壁が反射面)である場合、発生した騒音は壁面と機械本体の外装面で何度も反射を繰り返し、累積された状態となります。
つまり壁が無いときよりも大きな音量になって、防音壁上部の開口に放出されてしまいます。
トンネルの中での車の音などをイメージしていただくと分かると思います。
しかし防音壁に吸音の機能があれば、壁に囲まれた空間の音量増加は最小限に抑えることが出来ます。
音のエネルギーは、右の図1の様に壁に当たって、
①跳ね返るもの(反射音)
②透過するもの(透過音)
③壁内に吸収されるもの(吸収音)
の3種類に分けることが出来ます。
このうち③の吸収音は大変小さな数字ですので、計算を簡単にするために便宜上無視いたします。
これらの音には次の関係があります。
入射音=反射音①+透過音②
防音壁の性能を表すものに遮音性能と吸音性能があります。
遮音性能は透過損失という言葉で表されます。
透過損失=入射音-透過音②
単位はdB(デシベル)で表されます。一般的に重量の重いものの方が大きな数字になります。見方を変えると
透過損失=反射音①となりますので、透過しないということは、反射してしまうということになります。
吸音性能は吸音率という言葉で表されます。
吸音率は、入射した音のエネルギーに対する反射されてこない音のエネルギーの比率です。
吸音率=1-(反射音①/入射音)
見方を変えますと
吸音率=透過音②/入射音 となりますので、すべてそのまま通してしまう空気が一番吸音率が高いということになります。
防音壁・遮音壁の性能は、
A 防音壁の範囲と高さ
B 防音壁を構成する防音パネルの性能
C 防音壁+先端改良型減音装置「デュラカーム®E-fX」の性能
で決まります。
左図の騒音計がある場所で聞こえる音は防音壁の端部を回り込んで来る回折音と、
防音壁を突き抜けてくる透過音の合成となります。
回折音は
1.防音壁を高くする。
2.防音壁の巾を長くする。
ことにより、減少させることが出来ます。
つまり、A「防音壁の範囲と高さ」は回折音の減少の性能を受け持ちます。
透過音はご覧の通りですが、B「防音壁を構成する防音パネルの性能」で決まります。
尚、遮音壁の場合は、1.で述べた反射音が加算されます。
施工場所の基準風速・高さ・粗度区分・防音壁の高さ・柱のスパン長などの条件から
a) H鋼の断面強度・たわみ
b) コンクリートの支圧強度
c) アンカーボルトの剪断強度・引き抜き強度・埋め込み長
d) ベースプレートの板厚
を検討致します。上記条件を御連絡頂ければ、防音壁部材の選定を致します。
ご希望により、構造検討書の提出もできます。
下図の数字にカーソルを合わせるとイメージをつかむ事が出来ます。
防音壁のような上記で紹介した以外の騒音対策方法として、空気の流出入がある個所に対してはサイレンサーによる騒音対策、 コンクリートやALCなどの吸音性能が無い遮音壁に対しては吸音工事などがあります。 日本環境アメニティ株式会社ではご要望や騒音源に応じて適切な騒音対策をご提案いたします。